kanjuseitosyakaitojounetsu’s diary

コミュニケーション(意思疎通)、マーケティング、広告、メディアのブログです。経営分析、投資分析、ビジネススキルの目線もあります。これらの観点から様々な事柄を分析します。

移民が働く、地方の自動車工場と部品工場の経済分析(スバル、太田市をモデルケースとして)

 

ロイターが大変力のはいったレポートを発表した。日本の今後の分析に対するレポートなので

紹介し、引用する。

 

lite.blogos.com

 

 スバルの米国売上高はこの4年間で2倍に増えた。(略)(富士重工の株価は2012年末の時点から4倍も上昇。フォレスターは単独で年間36億ドルを売り上げる輸出マシンとなった。)

米国のドライバーたちを引きつけるのは、同車が持つ走りの性能や手頃な価格、それに社会的責任を果たしている車というオーラ(雰囲気)だ。「Love Promise」。同社は米国で、そう銘打った企業イメージ戦略を大々的に展開、いまカリフォルニア、ニューヨーク、ワシントンの各州では、「世界に前向きな影響を与える」自動車メーカーとして、スバルを愛用する顧客層が形成されている。(略)

しかし、スバル車ブームの陰には、同社が喧伝していない別の事実がある。売れ行きが急増している同社の生産が、ひとつにはアジアやアフリカからの難民申請者や安い外国人労働者の存在によって支えられているという点だ。

 

記事要約

 スバルは、売り上げが四倍に増えた。さらに、利益率は、日本で一位の会社となった。

それは、イメージ戦略、キャンペーン戦略が成功し、国内生産で利益率上げた。

しかし、その影には、イメージが悪化する外国人労働者のきびしい生活がある。さらに、それを可能とする日本の法制度がある。

 

自分(読者)がえられる教訓

日本の社会の現状を理解し日々のくらしにやくだてる。外国人労働者をまもらない労働法(実効性を含む)は、日本の労働者もまもらない。

 

 移民が働く、地方の自動車工場と部品工場の経済分析(スバル、太田市をモデルケースとして)をしてみた。

結論からわかることは、以下である。

 

1、ブランドを守る効果。自動車会社のブランドを守る、下請工場と派遣会社。

2、アメリカの景気に対応する派遣制度

 3、移民が生じたときの地方財政社会保障費増大の可能性

4、グローバル化で給料が一致するという事実にたいする知恵

 

 

1-1、ブランドを守る効果スバルというブランドに対する効果

太田市には1100社の派遣会社がある。(略)その多くが外国人労働者をターゲットにしており、トルコ語、スペイン語、中国語などで書かれた看板が太田市や隣接する大泉町の道路沿いに点在する。

 

世界各国と比べて日本での実態を悪くする条件がある。それは、派遣会社だ。

日本の派遣会社に対する法律は非常にあまい。そして、企業が直接労働者を雇う必要がないため問題がおきたときに派遣会社に問題を押し付けられる。下請けの部品会社が存在し、さらに、派遣会社が存在する。

スバルやそのたの自動車会社のブランドは傷つかない。

 

1-2、自動車会社(ブランドを持つ会社)の定番の主張とそれが崩れる事実

 

リジャル氏をニッパツに送り込んだヒカリ商事を経営する仲松氏は、日系ブラジル人の来日ブームがあった1980年代後半に日本に移り、すぐに自動車部品メーカーに労働者を供給する人材斡旋業を始めた。

 (略)

地元工場への労働者供給契約を勝ち取るために、斡旋業者は厳しい競争を繰り広げている。

仲松氏以外の4人の業者は、契約を確保するために工場の管理者や本社担当者に飲食の接待をしたり金品を贈ったりしなければならない、と語った。

太田市郊外の人材斡旋会社ワイズコーポレーションの丹羽洋介社長は「人材は必要だが、(その調達を依頼する)斡旋業者は選り取り見取り。会社側に決定権がある」と話す。

 自動車会社や部品会社は、責任はないと言う。しかし、責任はゼロではない。なぜなら、契約の決定権があり、個人的実益や組織的実益を受けていると見られるからだ。

 

2、アメリカの景気に対応する派遣制度

スバルと下請けメーカーが、技能実習生という名の下に数百人の労働者を雇っている。この制度は通常3年間の予定で労働者を送り込むが、スバルの矢島工場でフォレスターの製造作業をしているほとんどの中国人技能実習生は1年更新の契約しかしていないという。(略)

この制度は、2008年に経験したような米国市場の落ち込みが再び起きた場合の保険になる、と子会社のスバル興産の長川光弘氏は話す。「3年と決めると、その途中で景気の下振れがあっても3年の契約を守らなくてはならない。1年の契約であれば途中で下振れが起きても安全。リスクをとらずにすむ」。 

 法律の抜け穴が存在する。このおかげで、スバルの売り上げが急に落ちても、問題ない。

作業員をくびにすれば、生産を減らすことができる。管理会計で生産を担当するものにとって短期的には、いいが、長期的にはよくない。業務のレベルが下がり、スキルが身につかないからだ。これは経済予測のレベルを下げる誘引となる。

 景気と株価と利益を分析する株式アナリストにとってこれは、抑えておくべきこと。通常は、景気による生産の落ち込みにより、工場生産の企業はおおきな影響をうける。そして株価は落ちる。しかし、スバル(富士重工)の場合、対応できる抜け道がある。そして、そのコストは、一般市民が税金ではらうことになるか、もしくは、外国人労働者のように、泣き寝入りで負担する。この社会が持続していかないことは明確である。(そのような社会でこどもをふやしたいのかときかれると、はいとはいわないのが通常の市民だろう。)

 

3、移民が生じたときの地方財政社会保障費増大の可能性

太田市清水聖義市長は「外国人がやらないと、現実に、車は部品から何から絶対できない」と指摘。市長は過去、同市を外国人労働者特区に指定するよう申請活動をしてきたが、実を結んでいない。

清水市長はインタビューで、ロイターが把握している移民労働者の過酷な実態について認識していないとした。ただ、派遣業者が労働者を国の社会保険に加入させないと、市が支払う生活保護など福祉手当の財政負担が増えかねないとの懸念を示した。

 移民がはいるということは、社会保障費が増大するということだ。コストを負担するのは、役所だ。役所の財源は、税金だ。税金を払う人は、納税者であり、一般市民だ。コストを一般市民が払い、うまみは企業がもっていく、これが基本的な構造だ。

 

4、グローバル化で給料が一致するという事実にたいする知恵(就職するひとへの教訓)

 

スバルの製造拠点に配属されている中国人実習生の多くは20代前半で、(略)

群馬県一般機械器具製造業の最低賃金である時給817円で働いていた。

(略)同じ工場で働く日本人の常勤期間従業員の賃金水準に比べ、ほぼ半額とみられる。米国スバルによると、インディアナ州ラファイエットのある工場では時給が最高で3136円だという。

  グローバル化で給料が一緒になるという情報は安易に信じてはいけない。彼らはあなたの人生に責任をとってくれるわけではない。長期的には、給料が一緒になるかもしれない。問題は、5年後か10年後か、あなたの職種の給料が該当するかだ。ちなみに、トヨタのアメリカ工場は自給3000円である。これも法律で定まっていることだ。GMは、労働者の賃金で破綻したが、それも法律で決まっていた結果であった。

 

 最後に

ロイターがメディアとして問題視しているのは、イメージとブランドの話。

スバルはアメリカでは、ものごとをわかっている人の象徴としてイメージを広告代理店がつくっている。そのイメージに反するから、多くのコストをかけて記事にした。

広告代理店でイメージをつくるひとは頑張るのか。あまりいけてない商品(労働者の待遇もふくめて)を頑張って、うるためのイメージをつくるのか。長期的に、広告という仕事を通した自分をうることに集中するようになる。広告のおじさんにいけてない人が多い理由は以上だ。40以上のおじさんでいけてるのは、ブランドをつくるメーカーのひとだよねって、記事です。