kanjuseitosyakaitojounetsu’s diary

コミュニケーション(意思疎通)、マーケティング、広告、メディアのブログです。経営分析、投資分析、ビジネススキルの目線もあります。これらの観点から様々な事柄を分析します。

広告代理店(電博)のクリエイティブのおっさんが偉い理由は、広告代理店のビジネス構造から説明される

広告代理店のCD(クリエイティブディレクター)

は偉いらしい。これが、広告業界で働いていない、もしくは、

知り合いがいない人の感想だろう。

もっとも、まったく興味がない人がおおいとも、思われるが、は#metooといった、

セクハラやパワハラに関連するし、また、ビジネス構造を捉えるという意味もある。

二つの意味①トレンド(#metoo)②ビジネス構造といった観点から分析価値があるので

取り組んでみよう。

 

この記事を書く背景

中川さんという元博報堂のPR担当の人が書いた記事がある。

趣旨は、別の記事に反論するということがあるのだが、

この記事の中でCD(クリエイティブディレクター)が

やたらえらいという記事がある。

なんでなのか。それをちょっと説明しようというのがこの記事の目的だ。

tablo.jp

 

ここで、具体的記事の内容を引用する。

入社1~2年目のクリエーターが年上の営業に対して

タメ語なのである。(略)

クリエイティブの会議の場合、クリエイティブの若手がコピーを

取りに行くことは皆無で、営業の最若手がコピーを取りに行っていた。

さらには、弁当や飲み物まで要求する始末だった。

(略)

最近でもオレは広告代理店と仕事をしているが、

それほど体質は変わっていない。

オレ自身は、営業こそが会社の命運を握っており、

もっと尊敬されてもいいと思っていたのだが、

広告代理店のクリエーターがなぜかエラソーな理由が

よく分からなかった。

かれの述べていることはクリエイティブディレクターやその弟子である、

一年目や二年目のクリエイティブ担当が、年上の営業より偉い、

それはずっと続いている、その理由はわからない。

ということだ。その理由を解説し、それに続いて、

パワハラがおきやすい構造を考えてみようということだ。

 

分析

まず、広告業界を分析しよう。そのあとに、個別企業、今回のケースでは、

需要と供給の関係のうち、サービスの供給者である広告代理店側の分析をしよう。

広告業界とは、どのような業界だろうか。単純にいうと広告主から金をもらって、

広告主や商品・サービスを宣伝することだ。市場規模は日本国内で、年間6兆円。

これは大体変わらない。

トヨタの年間売上げが28兆だから、トヨタ一社よりも少ない。)

広告費は無限につぎ込んでも、売上げは増えない。つまり、

広告費は日本の年間で売れる売上げや付加価値、つまり、GDPに比例する。

日本のGDPは500兆だからずっと、1.2%の産業だ。そして、日本のGDP

比例するから、衰退産業だ。そのうち、テレビCMが2兆円でトップ。

(画像には、トップにプロモーションメディアというのが、ありますが、

これは、屋外広告や交通広告、オリコミチラシ、DM、店頭POPが

いろいろ合算されたものだ。)

 

 「電通 日本の広告費 推移」の画像検索結果

広告代理店側

みんな大好き電通博報堂だ。かれらのシェアは25%と12%だ。

アサツーは5%,サイバーエージェントは、4%。少しずれるかもしれないけども、

こんな感じです。

広告会社協会(JAAA)によると、加盟社は、147社なので、のこりの54%を143社で

分けている。もちろん、加盟社費用を払えるほどのおおきな広告会社ということで、

小さな会社は含まれていない。つまり、のこりは、少数の売上げしかない会社という

ことだ。つまり、広告業界は、電通博報堂できまる。これを覚えておいてほしい。

             

            広告費割合

 

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本題

クリエイティブディレクターが活躍するのはどこか。

さて、偉い人である、いばりちらすクリエイティブデレクターは、

広告費のどの部分か。もちろん、テレビCMのところである。毎年2兆円の規模がある。

このCMを作っているのがクリエイティブデレクターだ。このテレビCMは、電通

博報堂博報堂MP)、アサツーとそのた小さな会社から成り立つが、

この3社からしか実際はほとんど購入されていないのだ。見ておけばいい。

テレビCMには、サイバーエージェントはからんでいない。グラフを見てもらえば、

一気に寡占市場化しているのがわかるだろう。そして、この構造を考える。

テレビCMは、テレビ局が最終的に流すものだ。その販売代理店を広告代理店に

依頼するという構造がかつての構造だった。テレビ局と広告代理店の関係を考えよう。

簡単のために、東京エリアだけを考える。

登場するのは、クライアント、放送局、広告代理店である。

クライアントは花王、放送局は、テレビ朝日、広告代理店は、電通を考えよう。

花王のCMを流したいテレビ朝日電通と仲良くするのだが、あまりに電通

強力だとビジネスパートナーとして、つらい。そこで、博報堂にシェアを

持ってもらいたいのだ。なぜなら、テレビCMは、クライアントごとに値段が

決まっているため、どこの代理店から発注してもらってもかまわない。

花王のための価格があり、その価格は、キリンビールの価格とは異なる。)

つまり、電通博報堂がテレビCMの取り扱いのシェアを自ら上げるためには、

放送局と仲良くするよりも、広告主と仲良くする必要がある。そのために、

クリエイティブデレクターが存在する。彼らCDのつくったCMのアイディアの

出来次第で、テレビCMの取り扱い金額がかわるのだ。なぜなら、

花王や多くの広告主は、各広告代理店からプレゼンをうけて、CMを製作し、

発注するのだが、その発注を決める決定打が、クリエイティブなのだ。

電通博報堂がクリエイティブディレクターを大切にする理由は、彼らの出来が

大きく売上げに直結するビジネス構造だからだ。このビジネス構造が崩れれば、

クリエイティブディレクターは偉くなくなる。テレビCMの効果がいまいち

わからなかった時代は、なんとなく、かっこいいCMを作ることがたいせつだった

時代だった。そのため、スタークリエイターが求められた。

花王ユニクロの広告費を確認すればわかるのだが、かれらの一年間の

テレビ広告費は100億円を超える。

その扱いに対して、1000万円や2000万円の広告クリエイターの給料はやすい。

このビジネス上の構造がクリエイティブデイレクターが偉い理由である。

中川さんはPR部署だから、このようなテレビCMに部署ではないため、

このような構造とあまりふれなかったのかもしれない。そして、本質的には、

クリエイティブディレクターはたいした仕事をしていないので、

彼らが偉い理由はそんざいしないし、中川さんが偉さがわからないといった

理由ももっともだろう。

 

(東京エリアには、TBSや日テレ、フジテレビ、テレビ朝日テレビ東京がある。

これらが販売代理店としてお付き合いしたいのは、電通博報堂、さらにいうと

どの広告会社でもいい。一番のポイントとしては、価格の交渉力を高めるために、

それぞれの代理店に分割して発注してもらいたい。)

 

          テレビ広告費2兆円割合

 

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結論

広告代理店のクリエイティブデレクターが偉い理由は、ビジネス構造にあった。

そして、その構造は、寡占市場と、広告主である、クライアントの広告への

リテラシーのなさという二つのポイントによるものだった。

 

パワハラやセクハラがある企業や業界は、寡占市場かつお客のリテラシー

低い業界と推測される。

たとえば、マンションを含む建物の構造や、耐震性は、買い手である消費者は

わからない。つまり、リテラシーは低いだろう。公共建築が入札で決まる過程は、

最終的な資金の出してである、国民にはよくわからないだろう。

 

スーパーゼネコンのような職場は、パワハラが起きるのではないかという仮説がたつ。

実際はどうだろうか。そんなニュースがあったなあ。

新人男性の過労死を労災認定、五輪競技場で工事-残業190時間 - Bloomberg

東京五輪メインスタジアムの新国立競技場で建設工事に従事していた」

三信建設工業の新人男性社員(当時23)が3月に自殺した問題で、

新宿労働基準監督署が残業による過労が原因の労働災害と認定したこと

が分かった。日本政府が働き方改革を進める中での過労死事例になる。

 

NHKの31歳女性記者が過労死 残業、月159時間:朝日新聞デジタル

 日本放送協会(NHK)の記者だった女性(当時31)が

2013年7月に心不全で死亡したのは過重労働が原因だったとして、

14年に渋谷労働基準監督署(東京)が労災を認定していたことが

分かった。NHKが4日、発表した。ピーク時の時間外労働

月150時間を超えていた。