kanjuseitosyakaitojounetsu’s diary

コミュニケーション(意思疎通)、マーケティング、広告、メディアのブログです。経営分析、投資分析、ビジネススキルの目線もあります。これらの観点から様々な事柄を分析します。

業界人間ベムからの問いかけに図解で回答してみよう。その2。ベインキャピタルによるADKのTOBの今後の行方について検証しよう。

前回の記事

前回の記事で、業界人間ベムからの問いかけに回答していく流れだった。

そして、その中で、問いかけは7個あった。そして、ADKのリリースが長くて、さらに、LBOという専門的なファイナンス手法が登場したため、こちらの記事に続きを書いていくことにした。

前回の記事はこちら。

 

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宿題を確認しておこう。

①ベイン社のスキーム、ADKの次のゴールを調べること。

②公のリリースを読むこと

③自分の仮説を検証してもらうこと

④負債額がどれほどか検証する必要がある

ADKの社員がベインキャピタルがつくった借金を支払う必要があるのか確認する。

ADKの取締役や執行役員が、デジタルやテックの知識をもっているか、その投資をおこなうことができる人材か検証する。

⑦中国、タイ、インドネシアなどのアジアを中心とした事業の再構築が可能かどうか検証する。

 

 

 

ADKのリリースの6ページ、LBOについて

さて、LBOにうつろう。LBOとは、レバレッジド・バイアウトの略だ。一言で言うと、借金して、買収しますということだ。そして、借金し、その借金をなぜか、買収される側が負担するという、恐ろしい話だ。これは、まったくの合法である。

今回の買収に関して、ベインキャピタルは、ペーパーカンパニーを作成する。その子会社に1500億円準備させて、ADKを買収するのだ。しかし、ペーパーカンパニーには、ベインキャピタルは、300億円程度しか出資しない。その残りの1200億円はどうするのか。それは、三菱東京UFJ銀行みずほ銀行から借りるのだ。

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なぜ、三菱UFJ銀行とみずほ銀行は1200億円を貸すのか。

ベインキャピタルが作成した子会社をADKと合併させるからである。

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 これが、ベイン側から見た、買収のスキームである。宿題の①にこたえてみた。さらに、ADK側から見たゴールはなんなのか。宿題④の背負う負債額は、1200億円である。この1200億円の借金をADK社員2000人弱で返済する必要がある。一人当たり5000万以上の借金を返す必要があるのだ。

 

②の宿題である、公のリリースを読み続けよう。

 

ADKの公のリリース6ページからは、今回の公開買付けの背景が書いてある。

といっても、ADKの60年の歴史が書いてあるだけだ。7ページ目には、最近は業績が好調で利益が過去二番目に高かったことが書いてある。その金額は、50億円で、本来の目標は70億円だから届かないんだ、そのための改革が急務であると書いてある。

データを生かした、マーケティング活動を支援する、広告販促ビジネスへシフトすることを目標としていると書いてある。そのためには、有力な事業パートナーとの連携を通じたオープンイノベーションが必要であるという論理だ。オープンイノベーションと同時に、M&A投資や業務提携、人材・システムの投資をしたい、そのために、wppの決裁が投資判断に必要な現状から脱したい、これが主張である。

 

オープンイノベーションってなんだっけ?

 オープンイノベーションとは、※自社に限らず、他社や大学、地方自治体、社会起業家などがもつ技術やアイデア、サービスなどを組み合わせて、革新的なビジネスモデルや研究成果、製品開発、サービス開発につなげる方法。

以下のサイボウズのサイトがわかりやすかった。

「もう、個人の働き方に会社が合わせるしかない」「働き方をルールで管理するのは無理」──金丸恭文×青野慶久 | サイボウズ式

 いきなり、リリースでオープンイノベーションといわれてもよくわからないことが当たり前だ。広告ビジネスの中心はテレビとウェブ広告だ。テレビは、テレビ局が持つ枠を売るビジネスで、大変クローズドだ。そして、ウェブ広告も利益を上げているのは、グーグルとフェイスブックばかりで実はクローズドだ。そのなかで、いきなり、ADKがオープンイノベーションいいだしてもうまくいくかわからない。ADKの役員がO.I(オープンイノベーション)を理解しているのだろうか。彼らは、旧来の広告で成功してきた人間であって、その成功経験を捨てられるとは思わない。

7ページには、とにかく、リテイル事業で強い三菱商事と提携しているよ、と書いてある。

三菱商事はポンタというポイントカードを持っていて、そのデータを有効活用したくてADKと組んだ。

 三菱商事のデータビジネスについての記事はこちら。

 

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さて、8ページへと続こう。

8ページでは、顧客ポートフォリオをいじると書いてある。利益の出ない顧客とはおさらばすると言う意味だ。

8ページの途中に、オープン・ネットワーク型に変更すると書いてある。オープンネットワーク型と投資ファンドによる非上場化の論理がわからないが、言い切っている。

オープンネットワークしたい→wppとさよなら。これは、ok。で、ベインキャピタルに買収されたら、一社に独占されているから、うまくいく保障はない。wppと一緒で、投資を決めるのはベインだ、adkではない。

ベインキャピタル

ベインキャピタルでの非上場化は、意思決定プロセスを早めるためだと書いてある。その中身が書いてない。どの程度早くなるのか、その効果を示すべきだろう。さらに、ベインキャピタルのノウハウの支援を受けたいと書いてある。いや、先ほどLBOで説明したとおり、ベインキャピタルは一切リスクを負わないだろ。さらに、前回の記事で述べたように、ベインキャピタルは30人しかいなくて、どうじに、20倍以上巨大な東芝案件をおこなっている。つまり、ベインキャピタルは一人か二人しか、ADKにこないだろう、なぜなら、20倍以上巨大な東芝案件を扱っているからだ。さらに、その状態で、ベインキャピタルはなんのリスクも負わないLBOである。つまり、さっぱりやる気がないのである。

ベインキャピタルの役割ーリストラという嫌われ役ー

なにが、一番ベインキャピタルにとって、効率がいいのであろうか。それは、社員の解雇である。オープンイノベーション型では、必要ない旧来型の社員は全員やめてほしいのが、adk役員の意見だ。自分でリストラすると嫌われるから、外資系ファンドに頼んでいるのだ。このような論理をおうと、adk現経営陣は、ベインキャピタルに買収後の身分保障という契約(密約)を結んでいると考えられてもしょうがない。

 

ADK役員はベインキャピタル身分保障されているか。

 当然上記の疑問が、WPP側からあがる。当然だ。WPPは、買収と経営のプロだ。ベインキャピタルよりもスキルがあるのだ。

アサツーディ・ケイ、筆頭株主に反論 :日本経済新聞

 

また、WPPが指摘していたADKの経営陣がベインから身分が保障されているかどうかについては、「(処遇や報酬などについてベインと)なんら合意をしていない」と強調した。

という風にwppは、疑問を呈している。

 

ベインキャピタルの人って仕事できるんじゃないの?と思っている人へ

それでも外資系ファンドや外資コンサルティング会社に夢見てしまう人へ、ちょっとした情報提供をしよう。ベインキャピタルで働いている人が優秀なら、起業してる。今は、ちょっと優秀なら起業してる時代なのだ。ベインキャピタルで働く人は起業するほどの力がないから、ファンドで働いてる。彼らのウリは、日本人に仕事できそうと思わせることなのだ。

起業してる人たちの記事はこちら。

 

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この状態からわかることの示唆

結局、従業員(正社員と一般的に呼ばれる)を首にすることが大変なことが原因。日本は、首切りができないと裁判所がきめたから、できない。そのせいで、外資ファンドが大もうけする。ベインキャピタルは、何のリスクも負わず、0円の投資で、2000億円ぐらい儲けるんじゃないかな。ひどい話だよ、まったく。

 

公のリリースはまだ、8ページ目だ。次の記事で読もう。