コミュニケーション(意思疎通)と広告の話をしよう。
先日は、博報堂のブランドイメージと評判が落ちる話をした。
kanjuseitosyakaitojounetsu.hatenablog.com
要約すると以下だ。
裁判によって、博報堂の営業方法がわかる、これは大きな利点だ。そして、博報堂で働くサラリーマンの考えもわかる。博報堂出身者、内部の人はぼったくるカルチャーがあるとよく言われている。
広告代理店は、自分たちのブランド化に、ブランド力をあげることに力を注いでいる。それに対して、理性をもって分析できる貴重な機会だ。この裁判は注目すべき裁判だ。
博報堂という古い大手広告代理店のやりかたは、日本企業のひとつの形がわかるだろう。電通は、業界をつくっている、博報堂とは違う。博報堂は電通の子飼いみたいなものだという印象を抱く人もいる。
そのような視点を持ってこの裁判を見守ることが大切だ。そして、広告業界、コミュニケーションを考えているひとは、抑えておくべきだろう。
今回は、電通の話だ。先日が博報堂だったから、電通を取り上げるわけではない。ただの偶然だ。
電通は世界5位の一大広告グループだ。
の電通の評判がおちるニュースがあがった。
具体的には、デジタル広告において、顧客に出してもいない分の広告費を請求したのだ。
伝えたいこと
広告業界は変化しているといわれる。それはデジタルやデータ分析といった面で説明される。変化はひずみを生む。なぜなら、変化についていける人とついていけない人がいるからだ。そのひずみが、博報堂の裁判や電通の今回のクライアントへの過大請求となって現れる。そのひずみを客観的に分析してみると自分の人生に役に立つ。
博報堂の例では、博報堂の営業実務が理解できる。電通の今回の例では、日本の広告業界の慣習と働く人のビジネスレベルの低さがわかる。
本文
電通がやらかした。正確には、常態的にやらかしていたということだ。
具体的には、顧客への過大請求だ。こちらのニュースを確認しよう。
記事を引用しよう。
電通がインターネットでの企業広告で、実際には契約より少ない回数しか広告を表示しなかったのに契約通りの料金を広告主から受け取っていたことが23日、分かった。広告主への過大請求は数年間で数十件見つかっているという。
今年7月に広告主からの指摘があり社内で調査を始め、不適切な取引が判明した。電通は広告主に対して個別に経緯を説明し、過大に請求した金額を返金する。
不適切な取引があったのは、インターネット上に帯状に表示されるバナー広告と呼ばれるもので、これをクリックすると広告主のホームページにつながる仕組み。
じつにシンプルな共同通信の速報だ。共同通信と電通はグループ会社のイメージだな。
内容に関していうと、
つまり、客から金をもらっておきながら、広告を出していなかった。デジタルの時代だから広告主にチェックされてばれてしまったということだ。
電通の記者会見をまとめた記事はこちら。
一番のポイントを引用する。
クライアント名ではなく、何がおかしかったのか聞きたい。
「7月に発覚したということは、おそらく6〜7月の出稿についてと想定されるが『掲載されるはずの期間に掲載されていないのでは』という種類の指摘があった。掲載による期待値に比べ(掲載による)効果が一向にあがっていない。このため正しく期待通りの露出が行われていますかという疑義が出た」
流れを整理する。電通がクライアントとの契約を破り、広告を出稿しなかった。
トヨタのマーケティングチームは、広告の効果検証をおそらくデジタル広告の効果検証の会社に依頼しているか、効果検証できるソフトを導入している。そのため、広告を出稿している想定でホームページやキャンペーンサイトの訪問数が上がることを想定していた。
しかし、数値は上がらなかった。
そこで、トヨタ側は検証し、電通側に問い合わせた。デジタル広告は、証拠がとれる。
そこで、電通側は過大請求を認めた。
電通の人材、マネジメント体制
少しの過大請求は、日本のテレビ広告の世界では常識だ。それがルールだからだ。当然、それに対するサービスも存在する。この意識のまま、デジタル広告と向き合っていることが問題だ。サラリーマンは、覚えた仕事の常識で生きていく。頭を使わないから、仕事を覚えるものととらえている。
広告代理店の時代の変化による影響
広告代理店は、グローバルビジネスとなった。それは、どういうことなのか。電通は世界5位の広告グループだ。
それが何を意味するのか、それは、海外でビジネスをしていること、そして、海外のメディアに分析されることを意味する。つまり、日本では報じられない情報が海外メディアで報じられる。つまり、電通の最新の通常公開されない内部情報が公開されるということだ。これは、博報堂の裁判の例と同じだ。
ウォールストリートジャーナルにでている。もちろん、日本のメディアより早く情報をのせる。
電通の、古い日本の広告業界の仕事のやりかたが海外のメディアの目にさらされる時代になった。