kanjuseitosyakaitojounetsu’s diary

コミュニケーション(意思疎通)、マーケティング、広告、メディアのブログです。経営分析、投資分析、ビジネススキルの目線もあります。これらの観点から様々な事柄を分析します。

なぜ、フォルクスワーゲンの改造ソフト問題が歴史に残る問題なのか。フォルクスワーゲンもとい、ボロクソワーゲンの自動車史に残る不正ソフトウェア事件のブランドを含む見えにくい影響を分析する

自動車史に残る大事件だ。

事件の概要が損失額も含めて明確に、判明する前に最高経営責任者が辞任した。

これはすごい。22日に一報が入り、23日に辞任だ。

(実際は、一年以上不正追求されていた。

焦点:独VWの不正告白、当局と繰り広げた長期攻防の舞台裏 | Reuters

これは、分析する価値がある。

jp.reuters.com

 

 

www.youtube.com

CMの最後のフォルクスワーゲンがボロクソワーゲンと聞こえるようになってしまった。

フォルクスワーゲンのブランド価値は大きく下がるだろう。高級車である、アウディ部門を中国あたりが買うかもしれない。中国人のドイツ車好きは異常。ボルボに続き、アウディも中国人ブランドの仲間入りだろうか。

この自動車の歴史にのこるニュースを分析しよう。

 

分析の効果 

短期的な効果 フォルクスワーゲンの事件の背景を抑えておくことができる。

長期的な効果 ブランドを大きく毀損した、フォルクスワーゲンがどのように回復するか、教科書にのるようなテストケースを目の当たりにすることができる。注目の価値ある事実だ。

 

本文 

まず、事件の概略だ。

www3.nhk.or.jp

アメリカでのディーゼルエンジンの数値をごまかしたという話。

それで、まずかかる金が約9,700億円。これは、最低限の損失だ。これからどれだけあがるかは現時点では、わからない。(存在する希望は、過去のGMの意図的な欠陥隠しが10年で900億円の損失だった。)

1,100万台の車両が関係する。この数値の影響を分析する。

 

フォルクスワーゲンについてのおさえるべき基礎知識

分析のために、数値を比較するために 押さえるべきは、フォルクスワーゲンという組織。

フォルクスワーゲングループは、ブランドでざっくり言うと、フォルクスワーゲンアウディ、ポルシェがある。

ASCII.jp:ポルシェ16万台はVW470万台とほぼ同じ営業利益を稼ぎ出す

一番わかりやすいのがこの記事。

フォルクスワーゲンの2013年12月期の販売台数は973万台、売上高は27兆1870億円です。(略)

VW」ブランドはの販売台数470万台、売上高は13兆7168億円で、いずれも連結業績のほぼ50%を占めています。VWは文字通りフォルクスワーゲンの基幹ブランドなのです。

 VWの営業利益率は過去3年間で3~4%と低く、しかもやや低下傾向です。営業利益は毎年4000億~5000億円程度で、連結営業利益約1兆5000億円のうち、VWの貢献は25%程度に過ぎません。

アウディの年間販売台数は130万~150万台とVWの3割程度ですが、利益には大きく貢献しています。アウディの営業利益率は一貫して2ケタを保ち、営業利益は毎年約7000億円とVWを大きく上回っています。利益で見ると、フォルクスワーゲンの稼ぎ頭はアウディなのです。

「ポルシェ」ブランドは2012年8月からフォルクスワーゲングループ入りしました。通期での業績が連結決算に反映されたのは2013年12月期が初めてです。ポルシェの販売台数は16万台と少ないものの、世界中で圧倒的なブランド力を背景に営業利益率は18.0%と大変高く、営業利益3559億円はVWの3994億円に迫ります。

 要約すると、フォルクスワーゲンは、大衆車で利益は、低いが大量に売れる。500万台売れる。アウディは、100万台売れて利益が大きく出る。ポルシェは16万台だが、利益率がすごい高い。しかし、そもそも売れない。フォルクスワーゲンは、大衆車で、しかもヨーロッパでは、半分がディーゼル車。その不正はダメージが大きい。

毎年、500万台売れるうち、半分がディーゼルで250万台。それが数年間の不正で1,100万台。

不正ソフトを使っているかどうか、不正ソフトと認識されるかは当局の判断次第。

これは、経営が傾く数値だ。一年の利益が1兆5,000億円で、最低損失が、約1兆円である。

そして、失ったものはすでにある。株価とブランド価値だ。ボロクソワーゲンだ。

 

自爆したフォルクスワーゲン、株価ボロクソバーゲン : 市況かぶ全力2階建

株価は、半分になった。

すこし深い分析

さらに、分析は、続く。フォルクスワーゲンブランドが売れないと表面上の数値よりもダメージが大きい。それは、従業員を通した政治への影響と大量販売によるコスト削減と、研究費の影響だ。

まず、従業員への影響だ。従業員がリストラされると政府への不満があがる。そのため、膨大な労働者を抱える自動車会社は政府への意見が強い。また、従業員は家族の分も選挙権をもっていて大変労働組合も強い。アメリカの自動車会社の労働者の力が強すぎて、GMがつぶれたのは記憶に新しい。

次の影響は、大量販売によるコスト削減だ。従業員の成長ともいえる。大量販売には、大量生産がある。その大量の生産により従業員の成熟がある。そして、その成熟は、フォルクスワーゲングループ全体のコスト削減に役立つ。それは、アウディやポルシェのコスト削減に役立つ。

最後に、研究費だ。具体例で言おう。ポルシェカイエンの中身は、フォルクスワーゲントゥアレグだ。ポルシェの中身は、大衆車フォルクスワーゲンなのだ。

それは、車両の車体共有化である。(価格の違いはブランド力だ。)

www.carsensor.net

 この共通の研究開発費が捻出できなくなるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

ゴーンさんの意見

一方、ルノー日産のゴーンは冷たい。

sp.m.reuters.co.jp

ルノー日産グループで800万台だから、ライバルの失敗にチャンスを感じているだろう。

もっとも、年収10億のゴーンはリスクを犯さないよ。

 

日本限定対策

問題のフォルクスワーゲン車 国内の販売なし NHKニュース

日本では、該当のディーゼル車はない。あるのは、ブランド価値の毀損。イメージが悪い。

私がコンサルなら、ブランドイメージコンサルをフォルクスワーゲン日本におこない、同時に、競合の外車メーカーにシェアを奪いましょうとコンサルするという展開が思いつく。

個人的には、ボルボが好きだ。ボルボ労働組合を研究したときに思ったのは、ボルボ労働組合の資料は大変詳しくて、魅力的だった。

 

参考資料

今回の不正ソフト技術について

【VW匠の技】似非クリーンディーゼル技術の極みを検証してみた | 膝と相談させてください

フォルクスワーゲン内部では知られていた話かもしれない

「ゴキゲン♪ワーゲン」のVWに何が!?日本法人社長の唐突な辞任劇が生んだ波紋|モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫|ダイヤモンド・オンライン

 

 一番読んでいただきたい記事はこちら。

kanjuseitosyakaitojounetsu.hatenablog.com