二子玉川のカフェでキャリアウーマンが紅茶を飲んでいる。(楽天本社移転と人事政策)
いいかえれば、一万人規模の従業員がオフィスを引っ越す。
このニュースからサラリーマンは何を学べるのか。
結論は、社内の人事戦略の方向性である。
長期的には、社内の出世やキャリアプランに役立つ。短期的には、就職や転職に役立つ。
伝えたいこと
日本では、キャリアウーマンは子育てすることは大変だ。
特に、首都圏の、東京で働くキャリアウーマンの子育ては大変だ。女性総合職は甘くない。日本の人事制度の評価が長時間労働を評価するという、あまりにふざけた傾向があることもキャリアウーマンの出産、育児に不利になっている。
覚えてほしいこと
フランスでは、どうか。数値の面の分析も大切だが、法制度の面を説明しておこう。
フランスでは女性が妊娠、出産、育児をおこなうと、企業は元いたポジションを保証しなければならないと法律で決まっている。
女性は、妊娠、出産、育児をしたら、それは大変貴重な経験をして、それは職場にも当然役に立つものです。出産、育児によって、仕事から数年は慣れていても、その離れて落ちたスキルを補って有り余る実力がついたと社会が認識している。
じつは、その考えの背景には、多様性を重視し、さらにその背景には、他者に対する共感性が存在するのだが、趣旨と離れるので、割愛する。
本文
この中で、最重要なニュースは、
育児をしながら働きたい従業員に向けた託児所を社内に新設。
である。
人事戦略の面からいってこの移転は女性に対して大変大きなメッセージだ。
この意味を組織内部の論理から考察したい。
結論としては、人事戦略の重要性が浮かび上がる。
(そして、社内の人事の流れを推定したい。)
今回の移転の理由は、大きく二つだ。一つは、コスト、一つは、人事戦略だ。安さだけでは、人事担当役員は賛成しない。(変化には、従業員の疲労が発生するからだ。)
一つは、コスト。新築のオフィスには割引がある。楽天のような大規模なテナントは、交渉力がある。最新の設備が必要なIT企業にとっては、新築の割り引きつきのオフィスは、大変費用対投資効果が高い。もう一つは、人事戦略だ。楽天がTOEIC800点企業となったことは、記憶に新しい。
人事戦略で重要な点は、先ほど引用した、「託児所を社内に新設」という点だ。今回目的は、明確に、優秀な既婚女性の確保である。優秀な既婚女性は600万から800万と想定しよう。さらに、楽天は、英語を話せる女性を求めている。競合は、外資系企業となる。
この外資系企業との競争に優位に立つには、女性社員の暮らしに配慮する必要がある。
具体的には、勤務地と居住地との距離だ。
タクシーで帰れる距離がいい。二子玉川という土地は、川崎市と東京都世田谷区の境だ。タクシーに乗れば、数千円で家に帰れる。いざというときにタクシーで帰れる距離というのは、心理的にかなりらくだ。また、日々の通勤時間が減ることも大切だ。
今回のケースのような東京都の境であり、電車の便がいいところには、実際に外資系企業が多い。二子玉川や押上周辺だ。品川や恵比寿も東京駅に比べるとだいぶらくだ。かつて、住友3Mは世田谷区瀬田で現在は、北品川だ。ハインツは押上である。
もっとマクロな視点から考えたい。
地方に本社を移転するというニュースがある。
これがどのような社内論理で決定されるかは、別の機会に考えてみたい。
参考資料
外資系での人事基礎知識をしるための一冊